2014年10月30日

秋の植物観察会

秋の七草のようなメジャーなものだけではなく、一見地味な草花や木々でも、よ~く見ると奥深い世界が見えてくる…そんな秋の植物観察会を10月18日に開催しました。

講師は「三重自然誌の会」の市川先生です。

先生の植物に関する知識はすごい!
館を出てからすぐに、次から次へと目に入る植物を解説してくれます。

シライトソウのロゼットも発見!

見分けの難しい笹の仲間についても教えてくださいます。


秋は花を咲かせる植物も多いですが、なんといっても実りの秋。
これはガマズミの実。
食べられる、とのことでみなさん試食です。
「酸っぱい!」「でもおいし~」と五感を使って観察です。

園内に多いコウヤボウキとナガバノコウヤボウキの違いを解説。
ほんの少しの違いでも別種となる、草花の奥深き世界…。

コウヤボウキの花。うっすらピンクがかわいいですね♪

これもどこにでもある雑草、イヌタデ(左)とハナタデ(右)。
まず注目する人が少ないし、ぱっと見では同じ種類に見えますが…
茎や葉の細かい毛の生え方で見分けることができるのです!

まさに「雑草という名の植物は無い」との言葉通り、人間の目には入りづらくても、道ばたのあらゆる草花がそれぞれの個性を主張していることを思い知らされますね~。

今が盛りのノコンギク。


最後は太陽の丘で、絶滅危惧種のオケラの花を観察。
コウヤボウキと同じ仲間なので花の形もよく似ていますが、萼の部分のトゲトゲが個性的ですね。

草花観察というと、ついつい珍しい草花だけに目がいきがちですが、すぐ身近にある草花たちにもたくさんの魅力があります。
今回の秋の植物観察会が、そんなことを知ってもらうきっかけになれたら幸いです。



秋の草木染め体験

毎回、季節の素材を使って、草木染めを行う草木染め体験。
今回も県民の森のすぐ近くで工房を開く「二人工房」のみなさんを講師に、秋らしい草木染めを行いました。

まずは染めの前に、布の下地処理を体験。
大豆から作った豆汁(ごじる)に布を浸します。
こうすることで、染まりにくい綿でもしっかり染めることができます。

ミキサーで砕いた豆から豆乳をしぼります。がんばれ~!
「二人工房」中島さんのこだわりは、自然に優しい材料を使うこと、そして材料を無駄にしないこと。
使う布の重さにちょうどの豆汁を作り、全て布に染み込ませます。
こうして下地処理した布は今回は使わず、二週間ほど乾かしてからご家庭で染めてもらうためにと、おみやげになりました♪

さて続いては染めの材料を採りにいきます。
広場の脇で稲刈り…ではなくメリケンカルカヤ刈り。どんな色になるのかな…?

はびこる雑草を刈ってもらって、県民の森としても大助かり?笑

続いてはヤシャブシの木の実を拾います。

大きな枝つきのもゲット!

この日はお天気に恵まれ、材料調達がてらの散策はとっても気持ちいい!


館に帰って、材料を煮込み、液出しをしているあいだに、布に模様をつける「板締め」をします。
いろいろな形の木の板で布をはさみ、模様をつける技法です。

みなさん、いろいろな折り方、締め方していますね~。


 どんな模様になるかは開いてみてのお楽しみ♪

これがヤシャブシの染色液。
紅茶みたい…笑

染める布は、まず水に漬けて…

染色液にしっかりと漬け、かき回します。

これを焙煎液につけるとあら不思議、ヤシャブシに漬けたものはしぶい灰色に、カルカヤに漬けたものは鮮やかな黄色になるんです。
この染色と焙煎を交互に行い、しっかりと色を乗せていきます。

水で洗った後、開くと…かわいい連続模様が♪

できた作品は館の前で自然乾燥。
陽の光に輝いていますね!


最後は恒例、みんなで作品を持ってはい、チーズ!

中島さんによると、同じ素材でも時期が少し違うだけで、染まる色も変わってくるそう。
草木染め、何度やってもやっぱり奥が深いものですね~。

参加者の皆さんには、今回も自分たちで素材集めからやっていただきましたが、「自分でとった素材できれいな色が出ると格別」との声もありました。
染め自体は難しくないので、自分の周りにある植物でも挑戦してみたら、きっと新鮮な体験になるのではないでしょうか。

二人工房のみなさん、参加者のみなさん、ありがとうございました!


2014年10月15日

秋のきのこ観察会

毎年恒例、秋のキノコ観察会。

夏の観察会に続き、今回も雨のタイミングがずれ…。
キノコの発生が心配でしたが、二日前に降った雨が菌糸を元気にしてくれていますように!

講師はいつもお馴染のみえ菌輪の会から三輪さんとメンバーの皆さんをお招きしました。


まずはふれあいの館でキノコの採取の仕方について学びます。
キノコの見分けは土に隠れた部分も大切。
忘れ物がないように、全部採取するようにしましょうね。

 

参加者の皆さんは、森に入ると徐々に目が慣れていく様子。
とっても小さなキノコも探しだしていました。
とくに子どもたちの発見力は素晴らしいです☆
今回の参加者はみえ菌輪の会のメンバーさんを含めて45名と大人数!
たくさんの目でどんなキノコが見つけられたか楽しみですね。



ふれあいの館にもどると、それぞれ採取したキノコを自分たちで調べてもらいました。
難しいキノコの同定ですが、菌輪の会のみなさんが助け舟にヒントを出す場面も見られ
調べたキノコの種名が正解していると嬉しそうでした。
種類ごとの特徴をつかめるようになるとより楽しいですね♪

最後のまとめに、今回採取したキノコの中から特徴的なものを紹介します。


色、形、質感、軸の裂け方や変色、そして匂いなどなど…
見分けの決め手はたくさんあります。
キノコのさまざまな特徴を知り参加者も興味深そうな様子。


 そして毎年見つかるキノコのたまご。
今年は6個も発見されました。
ぷよぷよで触るときもちいい~♪と触感が人気。


せっかくなので、それぞれ中身を見てみます。
半分に切ってみると…

 

二種類のキノコがありました。
左はスッポンタケ、右はカゴタケ。
外見は一緒の幼菌ですが、その中身を見くらべるのは面白いですね。



キノコが少ない…と嘆いていましたが
終わってみると59種を数え、初記録のリュウコクヒナベニタケ(仮)や珍菌カゴタケの幼菌などを見ることができました。

秋晴れのもと、秋めいた森を歩くのは心地よく、キノコ探しを楽しんでいただけたのではないでしょうか。
ぜひお家のまわりでもキノコ観察を継続していただければと思います。

参加者の皆さま、三輪先生、そして菌輪の会の皆さま。どうもありがとうございました。




2014年10月11日

枯れ葉みたいな…?

10月に入り、朝晩は肌寒く感じるようになりましたね。
展望台広場のケヤキが徐々に黄色くなり始め、サクラも色付いた葉を見つけられるようになりました。ケヤキ、サクラは森で最初に紅葉する木です。


おや。
岩の上にも枯れ葉が一枚…
秋ですねぇ。


ん?
でもこの葉っぱ、近づくと逃げた!!



無事止まってくれました…

枯れ葉の正体はアケビコノハという蛾。
じつは展示館で幼虫から飼育をしていたのですが、先日羽化してくれました。

その羽は葉脈や菌類がついたような模様まで再現されており、まさに枯れ葉そのもの。
見れば見るほど感心してしまいます。
(ちなみに、右側が頭で目や足が出ているのがわかりますか?)

きっと落ち葉の中にとまってしまったら見つけ出すのは難しいでしょうね…。
反対に隠れている下の羽は鮮やかなオレンジ色をしていて、飛び立つとその色のギャップに驚いてしまいました。


そして、このアケビコノハは幼虫の時も個性的な姿なんです。


茶色い体に黄色や青と白で描かれる、細かな模様。
そしてお腹にはトレードマークの大きな目玉模様が二つ!
「じーっ」
こちらを見ているようにも見えますね…
ちゃんと目玉は目立つように、黒で縁取りがされているんですよ。
写真のように足を上にあげるのが図鑑でよく見るお決まりのポーズです。
本当に図鑑と一緒で感激してしまいました!

うーん。見れば見るほど不思議。
そして、自然は感心することばかりです。